Archive for 8 月, 2006

遠征の楽しみ

ぬいぐるみショーのバイトで遠方に行く場合は朝5時集合などという無茶なスケジュールを告げられることがある。
4時には起きて当時住んでいた福岡の香椎から自転車で博多駅近くの事務所に向かう。
5~6人のメンバーがワゴン車に乗り込んで6時頃には博多を出る。目的地に着くまでは暇なので大抵は寝ている。そんな車の中、ゴツンゴツンという音で目が覚めた。
はじめは何の音か分からない。しかし、気がつくと運転席からその音がしている。薄目を開けて運転席を見やると、運転しているスタッフが小声で呟きながら、シートのヘッドレストに頭を打ち付けている。
「ねむい・・」
ゴツンゴツン・・・
こちらは生きた心地がしない。
帰りの車でも大抵は寝ているが、たまに皆起きている場合がある。そんな時の楽しみは、仕事で使う怪人の頭を被っての運転だ。怪人さそり男とか、恐怖コブラ男などの仮面をつけて運転すると、対向車の反応が面白いのだ。
ぎょっとする人、指を刺して笑う人、泣きそうな顔で見つめる子供・・・そんな反応を見ながらみんなでゲラゲラ笑う・・・じ、実に退廃的だ。
良い子はまねしないように。
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昔受けた拷問について

学生時代に色んなアルバイトした。
その中でも面白かったのは、ぬいぐるみショーのバイト。はっきり言って見入りは良くない。確か1日のバイト料が3500円だった。
しかも、前日殺陣の練習がありそれにはバイト代が出ない。
それでもやっていたのは、色んなことが起きるからだ。
例えば、岡山のデパートでの出来事。
普段は、ウルトラマンとか仮面ライダー系のショーをするのだが、その時は、「人間もぐら叩き」のモグラをやらされる羽目になった。
これがまた重労働である。茶色の全身タイツに毛の生えたベストを着て、顔にはメイク。真っ黒いつけ鼻で、大きな箱の中に入る。
箱には、人の頭が通る穴が5つほど開いていて、中腰で穴から顔が出せる。その中に2人のモグラ役が入り、「ヨーイ。ドン」の掛け声で、ランダムに顔を出すのだ。それを子供がピコピコハンマーで叩く・・・・。
いわゆるヒンズー・スクワットの状態である。
ヒンズースクワットをしながらガキどもから殴られ続けるわけだ・・ほとんど拷問である。終った頃には身も心もボロボロ。
やっとイベントも終わり、舞台の裏で、ぶっ倒れていると、その時の興行主がやってきて言った。
「どうです、昼ごはん食べた後、休憩時間が1時間半ほどありますから、私の経営している映画館で映画でも見ませんか?」
勿論依存はない。舞台裏の控え室で昼飯を食べ始めたのだが、あまりの重労働のため食欲もでない。出てきたカツ丼を半分残し、待っていると再び興行主がやってきた。
「じゃ、映画見に行きますか?」
「はい、行きますけど、まだ着替えてませんので、着替えたほうがいいですよね」
「いやあ、大丈夫でしょう。着替えてると映画見る時間が減っちゃいますよ。それに昼の時間はお客全然居ませんから大丈夫ですよ。」
「そうなんですか」
なんとなく、釈然としないまま興行主の車に乗り込み、映画館への道を走り出した。勿論、格好はモグラのままである。
5分ほどで映画館に到着して、入り口に差し掛かった。映画の内容が気にかかったので聞いてみた。
「ところで、どんな映画なんですか?」
「いやあ、新作ですよ、新作。」
新作って・・・私はアクション物とかドラマとかそーゆー意味で聞いたのだが・・・。
入り口の掲示板に題名がマジックで書いてある。「緊縛いけにえ」・・・ポルノ映画である。
オイオイこちらは茶タイツだぜ・・・茶タイツでポルノ映画かよおおおおおお。そうは思ったが、折角の好意、断ることは出来なかった。
全身茶タイツの私と友人は、あへあへとよがる映画のかかる中、何となく「人生って何?」と考え込んでしまったのであった。
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