大学生の時にバイクで事故った07
先日、右の脳に障害を負ってしまった患者さんの話をしたが、或る日、左脳に障害を負った吉本さん(仮名)が入院してきた。左脳には、言語野があるので、右脳の障害とは違った症状が現れる。
実際には、この両方の患者さんが同じ時期に入院していた。私のベットの左側には右脳、正面には左脳という配置だ・・・。
吉本さんは当然言語つまり言葉が不自由。毎日、院長先生が回診の際に、質問をする。
「吉本さん。これ、なんですか?」
院長は左手にりんごを持っている。しばらく吉本さんは考えて、こう、答えた。
「ラジオ・・・」
「あー、これラジオですか?・・・ラジオじゃないですよ。もう一度聞きます。これなんですか?」
「えー・・・なずび・・・・」
「おしい!なすびじゃないですよ。食べるものですね。」
「あ・・・・・・・っわかりません。」
このような会話が、退院するまで、毎朝続いた。その横で左の患者さんからは
「隆弘、お前いつ来たんだ?」
「えっ?いや、僕は”隆弘”じゃありませんよ。隣のベットにいる浅川です」
「お前、隆弘じゃないのか?」
「はい、違います」
「じゃあ、何でここに居るんだ?」
という、攻撃が続くのだ。ちょっとこちらのほうが混乱してくる日常であった。
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